タロットと私⑤ 偶然は必然(最終回)

タロット

<前回>

タロット占いは何の根拠もない、つまり私はインチキな占いを人に伝えてしまっているんじゃないか…そんな気持ちに負けて、私はタロット占いをするのをすっぱりと辞めました。

タロットはインチキ!だなんて、いきなり強い言葉を使ってしまってすみません。

でも、若干20歳そこそこの私は「偶然が意味を持つ」という事をあまり理解していなかったのです。

世の中は努力でどうにかなる、どうにもならない事なんて無い!そんな風な血気盛んな若者だったのです…。


そして月日は流れ…

私も酸いも甘いも経験した大人になりました。

大人になる過程で、気づいたことがいくつかあります。それは…

・努力ではどうしようもないものがある。

・人生には大きな流れがある。それは人が抗う事の出来ない大きな流れだ。

という事です。

何か大きなうねりのような、流れのような、言いようもない大きな力が私の人生の上にあって、それにコントロールされているような感覚が長い人生のうちに何度か起こったのです。

急に変なことを言い出した~!と思わないでくださいね。

「大きな流れ」は、実際にあるのです。

例えば、私が漫画家を諦めた時の事を例に挙げてみれば、その当時の私には、色んな挫折的な経験が同時に起こってきたのです。まるで大きな運命の流れが、今は漫画家になるのを諦めろと言わんばかりでした。

そして、私が適応障害で会社を退職した時も、とにかくあらゆる種類のストレスがかかってきて、もう耐えきれない感覚になって私は会社を辞めてしまったのです。

悪い流れは分かりやすいので例に挙げましたが、実はこの事が私の人生を上に押し上げる要因になっているのです。

漫画家になるのを諦めて就職した事で、私は社会の中で認められるという経験をする事ができ、あらゆるスキルを身につける事ができました。この事は私の自信に繋がって行きました。何の自信も無かったただの漫画家志望者だった私が、会社の中であらゆるビジネスパーソンたちと渡り歩き、彼らから認められた経験は、私の自己肯定感を客観的な視点から上げてくれました。

また、一定の自信を持てた私が、今度は組織の中で限界を感じて退職した後は、その人生経験を持って占い師をしての一歩を踏み出す事ができました

私はこの二つ以外にも、色んな挫折がありましたが…傷の無い占い師に一体何の魅力があるでしょうか?


どのような過去も、今の私を作るために必要な経験だったと今では思うのです。

そして、その流れを作ったのは紛れもない「偶然」の連続なのです。

こういった経験から、私は今では偶然には意味がある、という確信を持てるようになりました。

その日その時その瞬間に、ある事が起こるというのはやはり意味があるのです。

なので、タロットにしても「偶然そのカードが出た」というのも、その人の運命の流れの中で何か意味を持っているに違いないのです。

そのような人生哲学を持てるようになって初めて、私は堂々とタロットで人を占えるようになったと思います。

非常に感性的な話になってしまいましたが、私は目に見えるものだけが重要だとは思いません。

人間には意識と無意識があると心理学者のフロイトは言いました。そして何と意識が占める割合は1%、無意識が占める割合は99%だとも言われているのです。

この無意識こそが、いわゆる直感や虫の知らせと呼ばれるもので「なんとなくこうした方が良い気がする…理由は分からないけど」と言った事も実はとても重要な感覚なのです。

タロットや易占などの卜術(ぼくじゅつ)は、そういった無意識を意識上に引き出す一つのツールであると私は考えています。

そして、今は私はタロットはとても当たる占いツールだと感じています。

また、会社を辞めて自分の心に従う生き方をするようになってからは、カードの意味がすらすらと読めるようになってきました。これは非常に驚きましたが、これも実はちゃんと説明が付きます。

「直感」というのは、人が自然体でいればいるほどに強まるとされているからです。

会社員として、自分の心を押し殺しながら働いていた頃は、自分の感覚を無視し続けていました。頭で損得を考えているようでは直感など分かるはずもないのです。

利害や損得抜きで、しっかり心で感じる事。

その事が直観力を上げる事、すなわちタロットと会話ができるという事に繋がっていったのでしょう。


私もまだまだ新米の占い師ではありますが、これから沢山経験を積んでいきたいと思います。

これで「タロットと私」は終了となります。

最後まで読んで下さって、ありがとうございます(*^-^*)

最後に、金子みすゞさんの有名な詩を引用したいと思います。

青いお空の底ふかく、


海の小石のそのように、


夜がくるまで沈んでる、
昼のお星は眼にみえぬ。


見えぬけれどもあるんだよ、


見えぬものでもあるんだよ。

金子みすず「星とたんぽぽ」

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